WORKS REVIEW
REPORT

採用担当者向け

2022.01.27

オンラインセミナー【新春特別シンポジウム】「第二部:変質する時代におけるインターンシップのあり方」を開催しました

出演者

伊藤忠商事株式会社
人事・総務部
採用・人材マネジメント室
室長

金山 義憲 氏

1999年入社。人事・総務部 採用・人材マネジメント室長 人材多様化チームリーダー。採用、育成、ニューヨークでの実習、給与・福利厚生、人事制度の企画、海外人事、アジア・太洋州の経営企画・人事など、幅広く経験。2020年より現職。

ソニーグループ株式会社
SPPS・採用部
統括部長

田代 嘉伸 氏

ソニー株式会社入社後、ゲーム事業、半導体事業のマネジメント経験および通算8年にわたるインド及び欧州における組織戦略人事を歴任し、組織改革、評価報酬制度の運用、人材育成、タレントマネジメント、採用、M&A実務を経験。2019年よりソニーグループ全体の採用を担う採用部に着任し、日本国内の新卒採用、経験者採用、海外大学からの採用、すべてを統括している。

神戸大学
キャリアセンター
政策研究職員

田中 美惠 氏

民間企業(専門商社、理系メーカー等)勤務を経て、キャリアコンサルタント資格取得後、行政・自治体による就職支援・キャリア教育等に携わる。
2013年より母校の神戸大学にてキャリア支援に従事し、現在は全学部・研究科を対象に幅広いキャリア形成支援研究インターンシップを進め、他大学でもキャリア授業等講師を行う。

東京工業大学
学生支援センター
未来人材育成部門
特任教授 キャリアアドバイザー

守島 利子 氏

大学院(心理学)修了後、人事・教育分野のコンサルティング会社に入社。その後、短期大学の講師、公立大学の職員(キャリアカウンセラー)を経て、2010年から現職。修士学生を対象としたキャリアの授業を担当すると共に、全学の学生を対象としたキャリア相談を実施。他大学でも、キャリアガイダンス等で講演を行う。

北海道大学
東京オフィス 所長
特任教授

山田 澤明 氏

1979年に野村総合研究所に入社し、 コンサルティング事業本部事業企画室長や米国野村総研社長を経て、企画・広報担当執行役員、常務執行役員コンサルティング事業本部長として従事。 2015年に北海道大学大学院教授に。 その後2019年より現職。

HRエグゼクティブコンソーシアム
代表

楠田 祐 氏

株式会社ワークス・ジャパン

成瀬 仁美

2010年株式会社ワークス・ジャパン入社。企業の新卒採用支援の一環として、主に採用プロモーション/選考管理システムの営業・企画を担当。入社時から営業職に従事。

企業を知る機会としてのインターンシップ

楠田
改めまして、こんにちは。第一部に続いて、第二部も担当させていただきます。2010年代のインターンシップは5日以上やってくださいとか、日数ありきの論調があったように思います。それが20年代、このコロナ禍になって、企業によってインターンシップが多様化してきました。本日はソニー、伊藤忠のインターンシップの話を聞きながら、あと大学側としてはどんなインターンシップを望んでおられるのか、北大、東工大、神戸大学の方々に、ずばり話していただきたいと思っています。オーディエンスの皆さんも、チャットで質問をお寄せください。

成瀬
では、冒頭私のほうから、議論の材料としまして、ワークス・ジャパンが、昨年の11月に企業を対象に行った調査の報告をさせていただきます。
「24卒インターンシップの実施回数や受け入れ人数をどうされますか?」という質問に過半数の企業が「同等」もしくは「増やす」と回答しました。「実施時期は早めるか?」という質問には、「同等」が58%、13%が「早める」という回答でした。対面とオンラインの使い分けについては「まだ検討中」が68%、直近の夏インターンシップに関しては“対面”の割合が他時期に比べると若干高くなっています。ただ、回答いただきましたのが年内でございましたので、今の状況下では少し回答状況は変わっているかもしれません。実施形式については「学生の要望に応えたい」というような回答が一番多かったです。

この調査内容を踏まえ、今回は「学生の要望をいかにしてこのオンラインの中で計るのか」、また「学生目線での実施をどう実施するのか」を皆様にもぜひお伺いしたいと考えております。
楠田
成瀬さん、ありがとうございます。
ではまず伊藤忠さん。伊藤忠商事は従来のトレード中心から事業投資へと事業を大きくシフトしましたが、インターンシップのやり方や考え方も変わってきたのでしょうか?
金山
商社の機能がトレードから事業投資にシフトしている。一方で商材も食糧もあれば繊維もあればプラントもある。この辺りを短期間のインターンでどう見せていくのか、本当に悩んでいます。ただ、一方で学生が商社のインターンに何を求めているかというと、新しいビジネスをつくるとか仕組みをつくる。最近ですとやっぱりサステナビリティに通ずるものを期待している方が多い ので、それに応えるようにしています。仕事の中身よりも成長実感がキー だと思っていまして、今年は「ファミリーマートを使ってどんな事業提案できますか」といったこと実施しました。また、若手のときはこういう仕事、中堅のときはこういう仕事、マネジメントになるとこういう仕事ができますよというのを因数分解して、「今日は若手です」「今日は中堅です」といったような工夫もしています。
楠田
若手、中堅の先輩も参加して?
金山
はい。若手はトレーディングの船の手配を。中堅は少し事業を考えて、提案する難しさや「こんな経験できるんだ」っていう疑似体験を意識した設計にしています。
楠田
事業投資会社になってくると、やっぱり理系の人材も欲しいですよね、しかし、ソニーさんみたいにモノを作るわけじゃないので、そこを理系の学生に理解させるために、どういうメッセージ出しているんですか?
金山
理系の学生は課題を設定して、論理的に解決策を導いていく能力が相対的に高いと思っていますので、より理系の皆さんにも門も叩いてほしい。そこで、研究内容や新しい技術をどう実装して、実際のビジネスやサステナビリティにつなげていくのかをPRをしています。
楠田
伊藤忠商事さんは、21世紀になってから職種別採用をされていましたが、最近は?
金山
先決め採用というジョブ型採用みたいなことをしていたのですが、現在は凍結中です。
楠田
凍結している理由は?
金山
一つのカンパニーだとか事業領域だけで求められる人材もだいぶ変わってきて、入社後にギャップがどうしても生まれてしまうから です。インターンシップで見せられる限界もあり、入社後に「こんなはずじゃなかった」っていうところもあるので、事業領域は自由に、入社後に考えるほうがいいんじゃないかと考え、4年前から凍結しています。
楠田
それで理想な人材は採用できていますか?
金山
そうですね。「なんでもやります」というと語弊がありますが、商社の機能を使って何かやりたいという学生は明らかに増えました。もちろん「食糧をやりたい」「情報通信で何かやりたい」というこだわりの強い学生は引き続きいますし、より増えているのかなという印象もあります。
楠田
自分で手を動かしてモノを作る研究や開発ではなく、それをお客様の事業に組み込んでいくところに商社の醍醐味があると考える人が増えている?
金山
おっしゃるとおりですね。
楠田
すると理系の先輩のそうした体験談を組み込むインターンシップも必要かもしれませんね。
金山
そうですね。ただ、現在はまだ理系の方向けのセミナーまででインターンシップまではできていないです。先ほどおっしゃられた、学生目線で何が求められているのかを、拾いながらやるしかないかなと思っています。
楠田
学生の情報収集方法の一つとして、インターンシップがあると思いますが、1日インターンシップについて、北海道大学はどうお考えですか?
山田
学生に聞いてみると、1日でもいい、やっぱり知る機会が大切だと。
何より社員さんとの触れ合いがすごく大事で、現場の社員さんが何を面白いと感じているのかを知りたいと考えているようです。その手段としてインターンがあり、オンラインでやってくださるのは、すごくありがたいです。北海道は東京に出てくるだけで大変ですから。オンラインだとたくさんの会社に触れることができる。ですから、1日でもやらないよりはやったほうがいい。ただ、インターンでも、ワンウェイは駄目だということは学生に言っています。
楠田
それは、そうですね。
山田
できれば社員さんと1日でも触れ合い、仕事の実体や社員さんの本音を聞ける。企業としても、学生の人間性や人格を見るいい機会になる。短くてもいいから。お互いがそういうのをちょっと感じられるようなものがいいですね。長いインターンはそんなにたくさん受けられないんですよ。夏休みも限られています。そういう意味で、いろんな企業に触れる機会が増えて、飛行機に乗らなくてもインターンに参加できるようになったことは、コロナになってありがたくなった、数少ない一つだと思います。
楠田
なるほど。学生にとって、何かこう体験をすることであればいいかもしれないけど、ワンウェイの会社説明では意味がない。でも企業側も焦っているから、説明会になってしまう。日本では説明会もインターンシップっていう名前になってますね。なんか監査が必要だなって今思いました。

動きながら「やりたいこと」を見つけていく

楠田
ソニーは昔から自分のキャリアは自分で作るカルチャーがありますが、入社後にキャリア志向が変わったとき、人事はどうサポートしているのでしょう?
田代
たとえば上司に何も言わずに異動ができる社内募集制度や社内FA制度など、キャリア設計するチャンスはいくらでもあります。あとは多くの新たなプロジェクトが生まれているので、今日現在の仕事以外にも、他のソニーの幅広い職場において、元々持っていた知見を生かせる可能性は、いくらでもあると考えています。マッチングが適正になるよう確認するというのが内部のプロセスですね。
楠田
自分のキャリアは自分で作るのは素晴らしいと思いますが、ソニーがさまざまな事業を展開する中で、コース別で入社すると、たとえば「ブラウン管やります!」とテレビ事業に入社しても、ブラウン管から液晶になり、「ブラウン管、もうないんですけど」ということも起こりますよね。だから、 入社しても新たな技術を学ぶ意欲のある学生を見抜いていかないといけません。
田代
そうですね。インターンシップでも採用選考においても、そこは、重要な確認ポイントです。
楠田
北海道大学の山田さんに新渡戸カレッジについてお聞きしたいのですが、卒業生の人たちがとても協力的だそうですね。
山田
はい、不思議なぐらい協力的ですね。フェローという肩書きを持っていただいていますが、割とシニアな人が多いです。この新渡戸カレッジというプログラムは、国際リーダーを育てることを目標としています。大学は、学問を小割りにして単位を与えますが、もっと大事なことはそれ以外にも山ほどあります。いくら偏差値が高くても仕事ができない人は多いでしょう。新渡戸カレッジは、いわゆる細分化されたお勉強ではなく、文系理系の区別もありません。理学部も歯学部も、獣医学部もいる中で、「世の中、実はこうなっているんだよ」という話を、先輩が、半分自分の楽しみでやっている。ですから嫌々やっているわけじゃなくて。たぶん、フェローの生きがいにもなっていると思いますね。
楠田
近年、少子化やコロナ禍もあって、企業側も学生側も少し焦りがあるのか、早く内定を決めたいという傾向があります。しかし衝動買いして後悔するように、焦って内定をもらったあとで「これでいいんだっけ」と思うのが人間の脳です。東工大のキャリアセンターには、早く内定もらっちゃった人が相談に来たりしませんか?
守島
相談に来るのは、納得して就職活動を終えたいという学生が多いです。
最初はみんなより早く内定をもらって、もう就活しなくてもいいと思っていても、3月、4月のみんなが就活している頃に、「本当によかったんでしょうか」と相談に来るパターンはよくあります。大変失礼かと思うんですけど、ある企業は、毎年早期、年内に内定を出される。でも、学生は、年内に内定をもらったことで自信がついて、他も受けてみようとどんどん受けに行き、結構受かったりするんですね、それで大変申し訳ないのですが、毎年、内定辞退者がたくさん出てしまう。実は昨日も学生が相談にきて「本当にその会社に行きたいの」と聞くと。「よくわからないです」と言うんです。他の企業をまだちゃんと見ていないから、とりあえず試験を受けて、内定もらってから考えると。だから本当に早期化がいいかどうかは、疑問だなと思っています。
楠田
学生や親御さんが安定志向に入っている中で、本当にやりたいことって何?というギャップがあると思いますが、神戸大学のキャリアセンターはどういうアドバイスされていますか?
田中
就活に動き出してから「自分のやりたいこと、なんやったかな」とか、「自分にこの会社本当に合ってるんか?」って考え始める学生が多いですね。
キャリアセンターでもいろいろガイダンスをして、自己理解、自己分析、自己PRについてもアドバイスをしていますが、就活を進めながらそれを深めていく、という傾向があると思います。でも、どちらかというとこう、今の学生はSNSを使って情報を収集しているので、大学からの正しい情報と言うと語弊があるかもしれませんが、こうある、こうあってほしいという情報が届きにくくなっています。だから、エントリーシートの添削などを通じて、自分が何をしたいのか、どうありたいのかということをアドバイスするかたちを取っております。
楠田
そうした傾向は、文理共通ですか?
田中
理系の学生はある程度、自分の専攻分野や得意な分野っていうところを中心に見ていきますし、文系の学生は、理系ニーズが高まっている中で、いろんな活動を通して自分の強みを探そうと模索をしているように感じます。
守島
理系の学生が皆、専攻する研究を本当に自分の仕事にしたいわけではありません。自分が本当にやりたいことがわからないっていう学生も多いです。やりたいことがわからないから、就職活動ではまず自分がやれること、自分が得意なことをメインに活動していくしかない。
楠田
なるほど。
守島
やりながらわかってくることってあると思うんです。最初から「これがやりたい」ではなく、やっていきながら「あ、これなんだ。これがいいかもしれない」とわかればいいと思いますので、まずは学生が動き出す、そしてそれを支えることに力を注いでいます。
楠田
やりたいことって外発的な動機付けから生まれるのかもしれませんね。
山田
今の学生は、自分のやりたいことを探しなさいと、小学校、中学校のキャリア教育の中で言われているでしょう。それで就職するときは自分のやりたいことをやるんだ、やらなきゃいけないんだ、って思っている学生が多いように思います。
田中
確かにやりたいことが明確な学生は少ないですね。ただ、その、自分が何に一生懸命取り組んできたかを振り返ったら轍ができた。まさしくそれがキャリアだと思いますから、学生が何に夢中になれて、何にやりがいとか感じられるかを、一緒に考えていくことが必要だと思います。

個に寄り添い、承認欲求・所属の欲求を満たす

楠田
さて、ここからはインターンシップの設計の仕方と、リテンションについて少し議論したいと思います。最近の学生すぐ辞めちゃうみたいな話がありますが、だから伊藤忠ではインターンシップで気をつけていること、工夫していることってありますか?
金山
はい。先ほどのキャリアや、やりたいことにも通じることですが、今の若者は成長実感や成長機会を重視します。
就職をファーストキャリアと捉えて、10年後には成長した自分のキャリアを持って、次を模索する。それが今の若者のキャリア観だと感じています。
今後はそれがもっと強くなっていくことを前提にインターンシップを設計しなきゃいけない。当社にはこんな機会がある、このように3年後、5年後に成長が実感できるというほうにフォーカスを当てています。それでもリテンションつながらずに、辞めるかもしれないんですけども、少なくとも入ってからのミスマッチはなくなっていくのではないかと考えています。
楠田
そこで注目されているのがオンボーディングなのかもしれませんね。採用して配置するだけじゃなく、現場のマネージャー、リーダーの役割がとても重要になってきているような気がします。
金山
承認欲求とか、評価されることが大切だということが当社の分析でも見えてきました。その意味でも組織長のフィードバックは重要ですね。1 on 1も一つの手法です。部下の話を傾聴する。否定もせず、同意もせず、もうただ聞くということが大事です。
楠田
個に寄り添うことが大切なのですね。第一部で、マイクロソフトのバリオスさんが、コロナ禍でこそ1 on 1が重要だと話していました。彼は人事のヘッドとして、リーダーは部下のための成長、グロースマインドセットをきちっとやってくださいと言い続けている。採用だけでなく、後工程のことまで一気通貫としてエンプロイジャーニーを作っていかないといけない。なかなか難しい時代ですよね。田代さんはインターンシップと、キャリア志向の学生に対してのリテンションっていうことで何か、ご意見ありますか?
田代
インターンシップは非常に濃いコミュニケーションができる期間なので、どうやって我々の価値観を伝えるかということに一層注力する必要があると考えています。この期間を活用して、社内のいろんなところを見聞してもらう。そうした場をいくつか設定しています。
リテンションに関しては承認欲求のその下、社会的欲求の所属が揺らいでいるところに課題があるように思います。そこを満たすようなコミュニケーションが求められている。いろんなツールなり働き方なりを通じて、そこを埋めることが、前提要件として大事です。
田中
確かに学生は成長実感を求めていますし、承認欲求という意味ではフィードバックをたくさんもらえるという口コミが広がった企業のインターンシップに行く傾向が見られます。
そこで企業のお二方に、インターシップでどのようにフィードバックをいただいているのか、また入学時からオンライン授業で大学の所属っていう場が揺らぐ中で、企業の所属というところをどのよう伝えようと考えているのかお聞かせください。
田代
まず、インターン中のフィードバックに関してですが、ソニーでは2週間もしくは3週間のインターンで、例えばヘッドホンのノイズキャンセリングの機能の改善といった本物の製品開発の1つのプロセスにかかわるプロジェクトに従事します。そして最後に、多いときは数十名が参加する部門会議で学生にプレゼンしてもらいます。その場ではプレゼンに対してソニーの現場の技術ディスカッションが起こるようなイメージで、「ここの前提条件はどのように整理したんですか?」などの厳しい質問や、「ただその着眼点は面白いですね」といった評価が飛び交うセッションが1時間ほど続きます。また期間中は、チューターが日々、細かにコミュニケーションをとっていますので、参加した学生はフィードバックを感じる場面があると思います。また、所属に関するソニーの取り組みについて述べれば、ソニーは社章も持っていないですし、何かこう、「ソニーマンたれ」みたいなものはないですね。
楠田
面接もリクルートスーツを着用しなくていいのでしょう。
田代
一番自分らしい格好できてくださいと言っています。だから意図的に会社の求心力を高めるような活動はほとんどありません。
一方でVISION-Sや金融、ゲーム、音楽など、いろんな事業やプロジェクトの情報共有はしっかりやっていって、それで自ずと、「ソニーで働いていてよかったな」と感じられるような、情報発信に努めています。
金山
伊藤忠も、フィードバックのほうは、ソニーさんと似たようなかたちですね。
グループごとにワークをさせており、メンターがその日の振り返りできちんとフィードバックをする。インターンシップ後には個別面談で活動に対するフィードバックを行います。また職業体験という切り口で、実際に当社が投資した案件やプロジェクトをモデル化した課題をやっていただいて、最後、発表してもらったあとに、「当社の場合はこうでした」と答えを見せる。そうすると、「あ、同じ観点でワークをしたな」とか、「あ、こういう視点だったのか」と実感できる。このインターンはかなり満足度につながっていると思っています。
所属、帰属意識については、マーケットへの発想などのキーワードだけ与えて、あとは「OB・OG訪問でできるだけ社員と会ってください」と促しています。OB・OG訪問を受ける社員には、夢だけじゃなくて泥臭い部分だとか、実態の部分をきちんと話すよう伝えており、それがたぶん、帰属意識の確認になるのではないかと考えています。
楠田
フィードバックには、ポジティブとネガティブフィードバックの両方がありますが、インターンシップの学生へのフィードバックはどちらが多いですか?
金山
人事的にはやっぱりポジティブフィードバックからしてくださいと現場に伝えていますが、OB・OG訪問では結構ネガティブというか、「改善したほうがいいよ」と強いことも話しているようです。ところが学生の皆さんからは「それがよかった」っていう声も多い。
楠田
小中高と先生から厳しく言われていないから、やさしい厳しさを感じるのかもしれませんね。
金山
はい。ネガティブフィードバックもきちんとしてあげることが大事なのだと思います。

インターンシップもジョブ型に

楠田
ソニーさんは86コースから選べるコース別採用を実施していますが、数あるコースを学生がどうやって選んだらいいのか悩んでしまいませんか?
田代
コースの内容が多岐に渡る設計をしているのは事実ですし、迷わせてしまっている学生さんがいるのであれば、常時改善していく必要があると思っています。ただ、コース別採用では、応募者の方々の専門性に敬意を払い、専門性に合致しうるコース設計を企図しています。同じような職種、仕事でも、それぞれに違いがありますので、ホームページの動画等を参考に、ご自身にフィットするものを選んでいただく。あるいはOB・OG訪問で、「こことここのコースを悩んでいるんだけど、どう思いますか?」と聞いていただければと思います。
守島
今OB・OG訪問の話が出ましたが、OB・OG訪問やメンター担当者への教育はどのようにやってらっしゃるのでしょう?
金山
当社では、OB・OG訪問担当者への研修を行っています。当社の魅力は社員の魅力なのだから、しっかりと本音で実態を話してくださいと伝えています。またOB・OG訪問を希望したけどなかなか受けてもらえないという声もありますので、承諾率も見ながら乗り気ではないOB・OGについては人を入れ替えるなどのフォローも行っています。
守島
もう一ついいですか? インターンシップのプログラムは、それぞれ自社で、どのように作っておられるのでしょう。
金山
参加者のアンケートなどからどんなインターンシップが求められているのかを考えて設計しています。
当社の場合はそんなにいくつもコースがあるわけではないので、我々の課題はインターンシップを受けられない方々に、どれだけインターンシップと同じだけの情報、経験をお伝えするかですね。機会が均等でないことは、当社にとってネガティブに働くので、そこは、インターンだけでなく、いろんなツールを使う必要があると考えています。先ほど、ソニーさんのコース別採用のお話がありましたが、キャリアの選択肢という観点からコースを変える機会はあるのでしょうか。
田代
はい、そのように設計しています。どこかのコースで、残念ながらどこかの選考プロセスで外れてしまった方でも、他のコースで適性を見出す場合ももちろんあり得るので、そうした可能性も吟味するプロセスが動くようになっています。

楠田
では時間も迫ってきましたので、登壇者の皆さんからオーディエンスの方々にメッセージを添えて終わりたいと思います。北海道大学の山田先生からお願いいたします。
山田
オンラインのインターンで、学生がいろいろな企業と接触できる機会が増えました。しかし、会社を見極め、理解するのはそう簡単ではありません。企業の方々には、社員さんの考えを学生が知る機会を、多く作っていただきたい。あるいは直接コミュニケーションする場面を短い時間でもうまく盛り込んでほしいと思います。それによってお互いの理解が深まると思います。
守島
私は「多様化」と「情報開示」がキーワードだと思います。多様化とは選択肢を増やすこと。いろんなコースを増やしていただくと、大変ありがたい。もう一つはやっぱり情報開示。政府からの要請もあり、企業もすべてを開示はできないと思いますが、情報不足による準備不足や不公平な状況が起きる事態はなくしたい。学生、企業、大学が三方よしというようなかたちの、新しい就職活動のあり方を一緒に模索できればと思います。
田中
大学から企業の皆様にお願いしたいのは、いろんな視点からしっかり学生を見ていただきたいということです。理系の学生に興味を持ってご採用したい企業が多いと思いますが、神戸大学は「異分野共創」を打ち出し、数理・データサイエンス分野を文理問わず学べる仕組みも作っております。ぜひ学生の魅力をしっかり拾い上げていただきたいと思います。
田代
ソニーの詳しい説明については、ぜひホームページ見てください。日本の社会を全部よくしていきたく、ぜひアカデミアの方々と一緒に働くことができればと思います。今日はありがとうございました。
金山
私は「多様性」が日本の競争力を上げるキーワードだと思います。企業が多様な人材を求めている中、大学側の皆様も「多様な価値観」や「グローバル目線」により注力していただければ、お互いにいい就職活動につながっていくと思います。その点ぜひ、今後とも連携させてください。
成瀬
皆様ありがとうございました。最後に楠田先生、二部の締めのお言葉お願いいたします。
楠田
このコロナ禍で、インターンシップの役割自体も多様化し、企業はインターシップをデザインするクリエイティブ性が求められていると思いました。また、学生一人一人へのフィードバックをディベロップメントしていくことで、学生も成長実感を得られると感じました。本日はありがとうございました。